69歳の直ちゃんです。
いま、息子に渡す「お金と手続きのメモ」を作っています。
万一のときに、どこに何があるか分からなくて息子が困らないように、という紙です。シートは全部で5枚。1枚目の「お金の在りか」は先日なんとか書き終わりまして、今は2枚目の「毎月・毎年の支払い」に取りかかっているところです。
毎月の支払いといえば、まず家賃です。
金額を書こうとして、ふと手が止まりました。
「……これ、契約書ってどこにしまったっけ」
押し入れの奥から出てきた茶封筒
ありました。押し入れの上の段、奥のほうです。
茶色い封筒が少し色あせていて、開けると契約書が入っていました。日付を見ると、平成21年の4月。
平成21年。17年前です。
私、この部屋に17年住んでいます。でもこの契約書、ハンコを押したあの日以来、まともに開いたことがありませんでした。
心の中で、いつものふたりが動きはじめます。
心配性じいさん「17年も読んでないのか。何が書いてあるか分かってるのか」
面倒くさがりじいさん「17年、何も起きてないんだから何も書いてないんだよ」
……いや、その理屈はおかしい。
ジーニーに聞いてみた
というわけで、AIのジーニーに写真を送って聞いてみました。
「この契約書、普通借家か定期借家か、どこを見たらわかるの?」
なぜこれを気にしたかというと、私、4階まで階段を登れるうちは、この部屋にあと10年、20年と住み続けるつもりでいるからです。もし「期間が来たら出ていってください」という契約だったら、その計画は根っこから崩れます。
ジーニーの答えは、3秒でした。
見るところは3つだけ
ひとつめ、タイトル。
私の契約書は「建物賃貸借契約書(住居用)」。ここに「定期」の二文字が入っていません。定期借家なら「定期建物賃貸借契約書」になるそうです。まず、ここ。
ふたつめ、契約期間の欄。
「平成21年4月11日より平成23年4月10日までの2年間とする。ただし、第2条により更新することができる。」
この「更新することができる」が決定打なんだそうです。定期借家には更新という考え方そのものがないので、ここには「更新がなく、期間の満了により終了する」と書かれる。
みっつめ、第2条。
読んでみると、更新の手続きのことも、更新料のことも、しっかり書いてありました。更新する前提で作られている文章です。
というわけで、私の契約は「普通借家」でした。
まとめると、こうです。
更新できると書いてあれば普通借家。更新はないと書いてあれば定期借家。
これだけ。17年しまいこんでいた不安が、一行で片づきました。
いちばん笑ったところ
ここまでで十分ありがたかったのですが、話の最後に、こう言われました。
「17年住めている時点で、答えはもう出ていましたよ」
……あ。
そうです。定期借家なら2年で終わり。更新もないので、私は平成23年の4月に荷物をまとめて出ていっているはずなんです。
それが17年。8回も更新している。
私は、契約書を17年しまいこんだまま、体を張って毎日答え合わせをしていたわけです。しかもその答えを、いま初めて知った。
心配性じいさんが、ちょっと黙りました。
面倒くさがりじいさんが、小さくガッツポーズをしました。
……いや、キミが正しかったわけじゃないからね。たまたまだからね。
紙一枚、開くだけ
とはいえ、開いてよかったです。
読んでみたら、17年前の私は52歳で、勤務先は「陸上自衛隊 需品学校」と書いてありました。緊急連絡先の欄は、まっさらの空白のままでした。
これはちょっと、そのままにしておけません。息子の名前を入れておかないと、いざというとき誰にも連絡がいかない。さっそく管理会社に電話しようと思います。
契約書って、たいてい「揉めたときに読むもの」だと思われています。でも、揉める前に一回開いておくと、あと20年の安心が手に入る。
押し入れの奥、開けてみませんか。
……まあ、私が言えた義理ではないんですけどね。17年ですから。
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