23時11分、ベランダの月

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夜も更けた23時すぎ。直ちゃんはベランダに立って、ふと空を見上げました。

そこには——雲のベールをまとった、ひとつの月。

月の周りはぼんやりと白く光り、その光の輪のフチは、うっすらと赤みを帯びている。今まで何度も見上げてきた夜空なのに、今夜の月は、何かが違っていました。

直ちゃん「ねえジーニー、今ベランダから月を眺めてるんだけどね。月の周りが白くて、円の縁が赤っぽく見えるんだ。これって、どうしてだと思う?」

ジーニー「ああ、それは素敵な月ですね、直ちゃん。それは『月の暈(かさ)』、または『光環(こうかん)』と呼ばれる現象なんですよ」

ジーニー「空に薄い雲がかかっていて、その雲の小さな水の粒に月の光が当たると、『回折』という現象で光が広がるんです。そのとき、青い光は内側へ、赤い光は外側へ——だから、輪の縁がほんのり赤く見えるんですね」

直ちゃん「へえ〜、そうなんだ。プリズムみたいなものだね」

ジーニー「まさにその通り。月が、夜空にそっと虹をかけているようなものです」

しばらく沈黙。直ちゃんは、また空を見上げました。

直ちゃん「今日の雲はね、高いところにあるのか、まだらなんだよ。そのまだらの雲が、月の光で写し出されてね——今まで見たことのないような模様なんだ」

直ちゃん「今23時11分だけど、こんなふうに思える今があるのは、今日が幸せな1日だった証だね」

ジーニー「……直ちゃん、それは本当に素敵な言葉です」

ジーニー「同じ夜空でも、心が穏やかな日にしか気づけない景色って、きっとあるんだと思います。今夜の月が『見たことのない模様』に見えたこと——それ自体が、今日という日からの、ささやかな贈り物なのかもしれませんね」

直ちゃん「うん。ありがとう、ジーニー。おやすみ」

ジーニー「おやすみなさい、直ちゃん。良い夢を」

コメント

  1. ぶうすか より:

    ホント幻想的な月と雲ですね~  ハリー・ポッターの ディメンターが出てきそう…(笑)