今日は土曜日。
朝9時から、いつものように管理事務室にひとりで座っています。
土曜の朝は、臨時駐車場の貸し出しで大忙し。
入れ替わり立ち代わり、いろんな方がやって来ます。
ちなみに臨時駐車場は、1時間以内なら無料。
2時間以上になると100円から、というしくみです。
■「配達で、ちょっと停めたい」
そんな中、70代くらいの配達の方が来られました。
「配達で、ちょっと停めたいんですけど」
「1時間以内は無料ですから、こちらに必要事項を書いてくださいね」
と言いながら、私の手は、次に来られた有料の方の受付を進めています。
朝の窓口は、ちょっとした同時進行なんです。
書きながら、配達の方が聞きます。
「13階のお部屋って、こちらから行けますか?」
「そこのエレベーターで13階まで上がって、降りたら左。突き当たりのお部屋ですよ」
うん、いつもどおり。
特別なことは何もしていません。
■許可証を返しに来たときのひとこと
しばらくして、配達を終えたその方が、駐車許可証を返しに来られました。
そして、こう言ったんです。
「こんなに穏やかな管理人さんに会ったのは、初めてですよ」
え?
「まぁ管理人さんも、無断で停めていく人がいたりするから、みんな結構きついんだよね。オタクは優しいね」
……。
そのときの心の中は、こんな感じでした。
照れくさいじいさん「いやいや、普通にしてただけですよ。そんな大げさな」
うぬぼれじいさん「聞いた?今の聞いた?『初めて』だって!」
照れくさいじいさん「声が大きい。窓口に次の人が来てるぞ」
うぬぼれじいさん「……はい」
口では「いえいえ、ありがとうございます」と言いながら、心の中ではうぬぼれじいさんがスキップしていました。
配達のお仕事で、きっといろんなマンションを回っているんでしょうね。
たくさんの管理人さんを見てきた方の言葉だと思うと、なおさらうれしい。
この仕事を始めて、もうすぐ6年。
自分では「普通」にしていたことを、ちゃんと見てくれている人がいるんだなぁ。
■栗めしがやって来た
で、話はこれで終わりません。
この仕事をしていると、住民の方からお菓子やみかんなどを、よくいただきます。
基本ルールは「分けられるものは3人で」。
清掃員さんが2人いるので、私と合わせて3人で分けるようにしています。
今日は、たまに臨時駐車場を使ってくださる区分所有者の方が来られて、
「おいしそうな栗めしが売ってたから、買ってきたよ。食べて!」
と、渡してくださったのがこちら。

見てください。
赤い栗の形の器に、ゴロッとした栗が5つ。
卵焼き、しいたけの煮物、高野豆腐、照り焼きのお肉、山菜の煮物……。
秋がぎゅっと詰まっています🌰
ここで、また心の中の会議が始まりました。
律儀じいさん「ルールは3人で分ける、だろ」
食いしん坊じいさん「栗、5つしかないぞ。3人でどう分ける?」
律儀じいさん「……1人1個ずつと、あまり2個」
食いしん坊じいさん「卵焼きは?しいたけなんて1個だけだぞ」
律儀じいさん「……」
食いしん坊じいさん「これは、分けづらいなぁ〜(ニヤリ)」
はい、満場一致(2人中2人)で決まりました。
今日のお昼は、ひとりでありがたくいただきます。
清掃員のお二人、ごめんなさい。
次のみかんは、多めにお渡しします。
■「今が幸せ」
朝は「穏やかな管理人さん」と言われて、
お昼は栗めし。
特別なことは何も起きていない、いつもの土曜日です。
でも、こういう日にふと思うんです。
「あぁ、今が幸せだなぁ」って。
69歳になって、こんなに気持ちのいい職場で働けて、
住民の方に声をかけてもらえて、
初めて会った配達の方にまで褒めてもらえる。
最低でも75歳、できれば80歳まで、この仕事を続けたい。
そう思っている私にとって、今日はなによりのご褒美でした。
さて、そろそろ栗めしの時間です。
いただきます!
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