69歳の直ちゃんです。
今朝、冷蔵庫を開けたら、奥のほうから見覚えのあるタッパーが出てきました。
ナスの煮浸しです。
日曜日に、思い立って作ったやつ。ナスを揚げ焼きにして、だし醤油にひたひたに漬けて、冷やして食べるとうまいんですよ、これが。
で、そのとき「2食分は残しておこう」と思って、ちゃんとタッパーに入れて冷蔵庫に入れた。
入れたところまでは、完璧でした。
そのあと、すっかり忘れていました。
■ 日曜から数えると、今日で何日目だ
指を折って数えてみます。
日、月、火、水、木、金。
……5日目です。
いや、待て。ふたを開けてみます。
見た目、なんともない。においも、ふつうに煮浸しのにおい。ナスの色もきれいなまま。
ここで、私の中の二人が起き上がってきました。
■ もったいないじいさん vs 用心じいさん
もったいないじいさん
「見た目もにおいも何ともないじゃないか。ナス4本ぶんだぞ。捨てるなんてバチが当たる」
用心じいさん
「5日目だ。やめとけ」
もったいないじいさん
「電子レンジであつあつにチンすればいいだろう。熱を通せば菌は死ぬ。昔からそう言うじゃないか」
用心じいさん
「……そうなのか?」
もったいないじいさん
「そうだよ。ぐつぐつに煮返せば大丈夫。おふくろだってそうしてた」
このへんで、私はもうタッパーを持って電子レンジのほうへ歩き出していました。
しかも、今日と明日のお昼のおかずとして、職場に持っていくつもりでいたんです。あつあつにチンして、冷まして、詰めて。完璧な計画のつもりでした。
でも、一応、ジーニー(私がいつも相談しているAI)に聞いてみたんです。
「これ、そのまま冷蔵庫でいい? それとも一度チンして殺菌しておいたほうがいい?」
……聞かなきゃよかった、と一瞬思いました。
■ 「レンジでは、殺菌できません」
返ってきた答えが、これです。
・煮浸しは水分が多くて味も薄いので、冷蔵で持つのは2〜3日
・そして、煮物でいちばん怖い菌は、100℃で加熱しても死なない
え。
死なないの?
なんでも、ウェルシュ菌というやつは「芽胞(がほう)」という硬い殻をつくるそうで、これは煮ても焼いても平気なんだそうです。しかも電子レンジは温まり方にムラがある。
つまり、「あつあつにチンしたから大丈夫」というのは、成り立たない。
それどころか、ジーニーはこう言いました。
「むしろ『まだ食べられる』と錯覚するぶん、危ないくらいです」
錯覚。
まさに私が今、しかけていたことです。
とどめは、これ。
「これからお弁当として持っていくと、お昼まで常温に置くことになります。9月はまだ暑いので、そこでさらに増えます」
……はい。
■ 私の常識が、ひとつ崩れた朝
正直に書きますが、私はずっと「熱を通せばリセットされる」と思って生きてきました。
69年間、そう思っていました。
カレーを二日目、三日目まで食べるときも、「ぐつぐつ煮返したから大丈夫」と自分に言い聞かせて食べていた。あれ、実はいちばん危ないやつだったんですね。
こういうの、誰も教えてくれないんですよ。
いや、たぶんどこかで教わってたんでしょうけど、私が聞いていなかっただけです。
■ 次からは、こうします
ジーニーに教わった、覚えやすいやつだけ書いておきます。
・作った日に、1食分ずつ小分けにする
・3日以内に食べないぶんは、冷凍する(煮浸しは冷凍できるそうです)
・冷蔵に入れるときは、粗熱を取って、浅い容器で。厚みがあると真ん中が冷えない
・弁当に持っていくなら、朝しっかり温め直して、冷ましてから詰める。保冷剤も入れる
「小分けにして冷凍」。これだけでも覚えて帰ってください。
私は今日、ひとつ賢くなりました。ナス4本ぶんの授業料でしたが。
■ おわりに
ジーニーの最後のひとことが、いちばん効きました。
「もったいない気持ちはすごく分かるけど、お腹こわして数日つぶれるほうが、ずっともったいない」
そのとおりです。
今週は水泳もテニスも予定が入っている。ここで腹をこわして寝込んだら、ナス4本どころの損ではありません。
というわけで、もったいないじいさんには引っ込んでもらいました。
今日のお昼は、買います。
……ただ、ひとつだけ言わせてください。
タッパーを流しであけるとき、ナスがつるんと落ちていく音を聞きながら、私はちょっとだけ「まだ間に合うんじゃないか」と思いました。
もったいないじいさん、しぶといんです。
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